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老人ホームの暮らし

老人ホームのアクティビティはどんなもの?具体的な内容や、その効果と役割とは。

老人ホームや高齢者施設では、さまざまなアクティビティやイベントが行われています。体を動かす体操、季節のイベント、趣味のサークルや会、鑑賞やスポーツなど内容はさまざまで、強制的に行うことはありません。しかしながら、それらは身体機能の維持や向上、脳の活性化や他者とのコミュニケーション、生きがいの創造など、さまざまな効果や役割があり、「その人らしく生きること」をサポートするなど「人生の質の向上」に関わっています。
では、アクティビティやイベントがどのような目的で行われ、実際にどのような効果があり、具体的にどのような流れでどんなことが行われているのか、をご紹介していきます。ぜひ参考にしてみてください。

1.老人ホームで行われるアクティビティやイベントには大きな2つの目的があります。

アクティビティやイベントはADLを向上させるリハビリになる

ADLとはActivities of Daily Livingの略で、日常生活動作のことを指します。歩行や排泄、食事や入浴などの日常生活を送るための基本的な動作です。リハビリ=専門職による機能回復訓練ととらえられることも多いですが、「リハビリテーション」という言葉は「リハビリテーション」(Rehabilitation)、re(再び、戻す)とhabilis(適した、ふさわしい)から成り立っており、老人ホームでは、その人が「人間らしく生きる権利の回復」や「その人らしく生きること」のために行われるすべての活動を指します。
手芸や絵画、歌唱、読書、園芸など、イベントやアクティビティには、指や体を動かす動作や、発声、コミュニケーション、喜怒哀楽を感じるなど、さまざまリハビリ要素が含まれており、本人が楽しいと感じる内容であるほど参加しやすく、リハビリになりやすいメリットがあります。そのため、老人ホームなどではさまざまなイベントやアクティビティが行われています。

QOLの向上にもつながる

QOLは、世界保健機関(WHO)が定義した「Quality of Life」(クオリティ オブ ライフ=「生活の質」「生命の質」)の頭文字を取った言葉です。日本語では「生命の質」「生活の質」「人生の質」などと訳されます。身体的な健康、心理的状態、社会や周りの環境などを総じてどう捉えるかということを表す主観的なもので、「本人や家族が、満足している生活の状態のこと」を表します。
アクティビティやイベントに参加することで、昔やっていたゲームや体験を思い出したり、趣味に取り組むことで自分らしい生活が送れていると感じたり、人と関わることで幸福を見いだしたりと、日々の暮らしの満足度が上がるきっかけとなっています。

2.アクティビティやイベントによる効果

■身体機能の維持と向上

高齢になると、筋力や柔軟性の低下、関節痛などの体の不調から、自ら身体を動かす意欲が低下したり、ケガなどのリスクも高まると行動が制限されたりと、体を動かす機会が減ってしまうという現実があります。その結果、それらがさらなる筋力低下を招くことも少なくありません。
レクリエーションや趣味サークル、定期的なイベントで、皆で楽しみながら体を動かすことができるので、筋力の維持、または向上につながり、介護スタッフなど施設のスタッフもサポートしているので、無理することなく、安心して身体を動かすことができます。

■脳の活性化

クイズ大会や、クッキング、園芸や食を楽しむクラブなどさまざまな活動は、指を動かしたり、簡単な計算をしたり、段取りを考えたり、味覚・嗅覚・触覚を働かせたりと、脳や五感を使います。認知症予防の早口言葉やなぞなぞ、パズルに取り組むこともあり、五感を働かせ昔のことを思い出すことは、脳の活性にもつながります。
運動や体操などのトレーニングも、酸素が全身に行きわたることで脳の血流がよくなり、継続的に続けることで脳への血流が増え、認知機能によい影響を与えます。

■他者とのコミュニケーション

社会参加が少ないことや孤独であることは、機能障害や認知症の発症率を高めると言われていますが、イベントやアクティビティで、他者との交流・コミュニケーションをはかることができます。特に、同じ趣味や興味を持つ同士が集まることで、会話が盛り上がったり、喜びを共有できたり、昔を思い出し競争心を駆り立てられたりと、感情も豊かになり、仲間や知り合いが増えることで「生活の質」を大きく向上させることにもつながります。

■生きがいの創出

令和3年に行われた内閣府の調査では、『生きがい(喜びや楽しみ)を感じる時はどのような時か』の質問について、「孫など家族との団らんの時(55.3%)」、「おいしい物を食べている時(54.8%)」、「趣味やスポーツに熱中している時(53.5%)」、「友人や知人と食事、雑談している時(52.6%)」という結果でした。半数以上が、人との交流や食事、趣味、スポーツをしている時に喜びや楽しみを感じていると回答しています。人との交流の中で自分の存在を感じられたり、喜びが生まれたりする機会がたくさんあります。

※引用「令和3年度 高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査結果(概要版)8.世代間の交流・生きがい」より
https://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/r03/gaiyo/pdf_indexg.html

3.アクティビティやイベントってどれくらいの頻度で、いつやるの?

体操などを毎日決まった時間に行い、お誕生日会や季節のイベントなどが月に数回行われるというのが一般的です。内容や頻度は施設によって異なりますが、毎日内容の違うアクティビティを決まった時間に行っているところもあれば、全員参加のイベントが月に数回、クラブ活動が週に何回という施設もあります。施設側から入居者へ声を掛けますが、強制参加であることは少なく、体調に合わせて、参加したいものだけに参加するというスタイルが一般的です。

体操は午前中。アクティビティやイベントは午後に実施。

朝起きて朝食や身支度を済ませた午前中に体操をする施設が多く、その後はお散歩などをして自由に過ごし、入浴の日かどうかで人によっても変わりますが、昼食後にアクティビティやイベント、というのが老人ホームでは多いスタイルです。

トラストガーデンの一日のくらしをご紹介(トラストガーデン横浜ベイ馬車道の場合)

7:30    ダイニングで朝食
9:00    個別プログラムでの機能訓練(リハビリ)タイム
10:30   ダイニングでラジオ体操、スタッフと一緒にラジオ体操を行った後はティ―タイム。
11:50   ダイニングで昼食
13:00   入浴
14:00   イベントやアクティビティ
15:00   おやつ
17:50   ダイニングで夕食
20:00   就寝
※曜日や入居者により異なります。詳細は、入居を検討している施設へお問い合わせください。

4.実際にトラストガーデンで行われているイベントやアクティビティを紹介します。

【身体を動かすアクティビティ】
身体を動かすアクティビティでは、体操、外気浴(散歩)などがあり、その内容が日替わりというところも。ヨガはヨガでも、笑いの要素を取り入れた笑いヨガや、椅子で行うチェアヨガなど、さまざまな工夫が取り入れられています。
また、ボウリング、パターゴルフ、ボッチャ、モルックなどのスポーツも。ビリヤードや卓球も行われています。本格的なものから簡単なものまで、高齢者ができるスポーツは実はたくさん。スポーツは身体だけでなく頭も使い、得点などが絡むと白熱することもしばしばで、その熱量にスタッフもびっくりです。

【趣味のサークルなど】
「今までやっていたことを続けたい」「始めたい」という声からサークルが生まれることも。趣味のジャンルでは、お茶会やお花(フラワーアレンジメント)、歌会、コーヒー講座やスイーツの会、麻雀、囲碁、将棋など、さまざまなものがあります。書道やお茶の先生をやっていた方が経験を生かし、講師として活躍の場となることもあります。
既存サークルへの参加や、新たにやりたいことがある場合は、施設スタッフへ相談してみましょう。

【交流イベント】
季節のイベント(お花見、七夕、納涼祭、お月見、クリスマス、お正月など)や、お誕生日会などが行われています。イベントの中では、クイズなどが取り入れられたりスタッフがダンスを披露したりと、入居者とスタッフ皆で楽しみます。
他にも、プロの演奏家を招いたコンサート、カラオケ、DVD鑑賞、園芸など種類はさまざまです。

【パラリンピック競技やニュースポーツなども】
ボッチャをご存じでしょうか。ボッチャは、目標球と呼ばれる白いボールに、赤・青チームそれぞれ6球ずつのボールを、投げたり、転がしたり、他のボールに当てたりして、いかに近づけるかを競うスポーツです。ヨーロッパで考案され、パラリンピックの正式種目として1984年から行われています。世田谷区のトラストガーデンでは、施設対抗の試合を開催したことも。
モルックは、1996年に生まれたスポーツで、点数が描かれた木のピン「スキットル」を地面に並べ、木の棒「モルック」を投げて「スキットル」を倒して、合計得点や先に50点に到達することを競います。
ちなみに、最近では日本のお笑い芸人によるモルックチームが、テレビ番組で取り上げられるなど話題になっています。2024年8月には函館で世界大会が開催され、15か国から672チーム約3,350人がエントリーし、兵庫県明石市のチームが優勝したそうです。

どちらも簡単なルールで、老若男女問わず気軽に楽しめるのが特徴で、子ども会のイベントなどでも実施されています。トラストガーデンでは、活発に行われています。

5.まとめ

入居者の日々の暮らしがより一層充実するために、老人ホームや高齢者施設では、さまざまなアクティビティやイベントが行われています。施設によって内容が異なるので、入居を検討している際は、どんなものがあるのかぜひ尋ねてみましょう。
また、SNSやホームページのブログで日々のアクティビティなどを紹介しているところもあるので、チェックしてみてください。どんな雰囲気で、どんなことをやっているのかを知ることができます。施設見学の際に、実際に見てみるとよいですね。

※画像はイメージです。

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