シニアライフ 2024/12/5
冬のバスタイムを快適に!シニアのための入浴ガイドとスキンケア
2024/12/5
11月12日は「いい皮膚の日」です。1989年、「いいひふ」の語呂合わせから、皮膚の健康や皮膚病について広く正しく理解してもらうことを目的として、日本臨床皮膚科医会が制定しました。
皮膚の面積は日本人の成人で畳1枚分もあり、人体で最大の臓器といわれています。
シニアにとって皮膚の健康を保つことはどのように全身の健康に影響するのか、食事や生活習慣との関係性などについて解説します。
わたしたちの全身を覆っている皮膚。皮膚には3つの層があり、そこには神経や血管などが通っています。皮膚の構造がどのようになっているのか、わかりやすく説明します。
表皮は皮膚の最上部にある層です。角層(角質層)という、わずか0.02mmの組織ですが、非常に丈夫で外からの刺激が体内に入らないようにしたり、肌内部の水分が蒸発しないようにしたりして、守っています。
表皮の下にある、肌の土台となる部分です。主成分はコラーゲンで、真皮の中に網目状に張り巡らせた繊維で肌の弾力や水分を保つ働きがあります。真皮内には神経の末端や汗腺、皮脂腺、毛包、血管がありますが、真皮の厚い層によって皮膚はやわらかく、丈夫な組織となっています。
年齢を重ねるとコラーゲンを作り出す能力が低下し、シワやたるみの原因となります。
真皮の下には脂肪組織の層があり、外気の暑さ・寒さから守る役割と、クッションのような役割をして体を保護しています。またエネルギーを蓄える働きもあり、皮下脂肪が蓄えられる場所でもあります。
皮膚にはどのような機能と役割があるのでしょうか。シニアになるとどのように変化するかもみていきましょう。
表皮の角質を作る角化細胞は、レンガのようにたがい違いになり、約20層も積み重なっています。0.02mmの薄さですが、外部から異物を入れないよう守り、内側の水分を蒸発しないように守る「バリア機能」があります。
角化細胞は、新たにできたものから表面に向かって徐々に移動していきます。皮膚の表面に達すると自然にはがれ落ち、下の層から押し上がってくるものと入れ替わります。
この入れ替わりを「ターンオーバー」と呼んでいます。ターンオーバーは通常28日周期となっていますが、加齢によりその周期が長くなります。個人差はあるものの、40〜50代で約45日、60代以降になると100日前後といわれています。
暑いときには汗をかいて皮膚の表面温度を下げて体温の上昇を防ぎます。寒いときには立毛筋を収縮させて体温が外に逃げないようにします。寒いと鳥肌が立つのは、この立毛筋の働きによるものです。
皮膚には触覚・痛覚・温覚・冷覚・圧覚があり、さまざまな情報を脳に伝えています。皮膚が5つの感覚を感じ取ることで、体を守る行動を取ることができます。シニアは皮膚の温度センサーの感度が鈍り、暑さや寒さを感じにくくなるため、体温調節機能が低下する傾向にあります。
皮膚が体の表面にあることで、大切な臓器や組織に致命傷を与えないように守っています。皮下脂肪がクッションの役割を果たして、ぶつかった際の衝撃を吸収してくれます。
シニアの皮膚は薄く、脆くなっているため、日常生活のちょっとした衝撃や摩擦でも内出血や皮膚剥離を起こしやすくなります。
皮膚から皮脂や汗を分泌しています。皮脂は皮膚の乾燥や細菌の繁殖を防ぐ役割があります。
汗は暑いとき体温の上昇を防ぐほかにも、体内の老廃物を汗として体外に排出する作用もあります。シニアが汗をかきにくいのは、温度センサーが鈍り暑さを感じにくくなることと、体内の水分量が少なく汗腺が小さくなることなどが原因のひとつです。
美容の観点からは害となる紫外線ですが、皮膚に太陽光を浴びることでビタミンDの合成が行われます。ビタミンDが不足すると筋肉や骨が弱くなり、シニアは骨粗鬆症やサルコペニア、認知機能の低下などのリスクがあるといわれています。
皮膚は健康のバロメーター。皮膚の状態で体調や潜んでいる病気がわかることがあります。
皮膚がゴワゴワ・ゴツゴツしているときは、皮膚が厚く固くなっている状態です。これは体が冷えることにより、体外に熱を逃がさないように皮膚が厚くなっていると考えられます。そのため冬には皮膚がゴワつきがちですが、暖かい季節にも皮膚が固い場合いは冷えに気を付けると良いでしょう。
肌がカサカサしているのは、体内の水分不足が考えられます。シニアになると皮膚が薄くなり弾力もなくなるため、水分を保持する能力も低下してきます。乾燥は外側からのケアだけでは改善されないため、食事や睡眠などの生活習慣も見直す必要があります。
ボツボツと小さな吹き出物が出るのは、新陳代謝が悪い可能性があります。ボツボツが出る場所にもよりますが、食べたものが十分に消化されずに栄養として吸収されにくくなっており、寝ても疲労感が残っているなどの症状が出ることも。食生活が偏っている、ビタミン・ミネラル類の不足などが考えられます。
シニアが健康な皮膚を保つために気を付けたい習慣について解説します。できることから心がけてみましょう。
和食を中心としたバランスの良い食事が大切です。特にシニアはエネルギー源となる糖質や脂質、元気に動けるためのタンパク質を意識してメニューを考えてみるとよいです。
シニアの理想的な睡眠時間は5〜7時間とされています。加齢とともに睡眠時間が短くなり、途中で目が覚めてしまうことも多くなります。
これは血圧や体温、ホルモン分泌などの加齢による変化により、生体機能リズムが前倒しになるためです。午前中に日光を浴び、昼寝を避ける、食事時間を決めるなどの対策をしてみましょう。
紫外線を適切に浴びることはビタミンDの合成に役立ちますが、過度な紫外線は皮膚の老化をまねいてしまいます。日光浴は朝の15分程度にして、服装や帽子、日傘などで強すぎる紫外線は避けるようにしましょう。
皮膚を健康に保つためには、清潔にすることと保湿が重要です。洗顔は、ターンオーバーで剥がれ落ちるべき角質を落としてくれる役割もあるので、朝・晩の2回は洗顔をしましょう。
洗顔した後はヒアルロン酸やセラミドなど、保湿成分の配合された化粧水やクリームなどでしっかり保湿してください。
皮膚の疾患はストレスが原因とされているものが多くあります。ストレスは免疫バランスを崩し、自律神経の乱れをまねき、皮膚トラブルとして表面に現れます。楽しいことを見つけて、ストレスを溜めない工夫をしてみましょう。
皮膚を清潔に保つために入浴は大変有効です。全身をお湯につけて温めることで血行が良くなり、新陳代謝が促進されます。またリラックス効果により、睡眠の質の向上や疲労回復、ストレス解消も期待できます。
トラストガーデンでは、入浴後にご入居者のお好みの香りやブランドのボディクリームを塗布して保湿したり、一部ではマイクロバブルのシャワーヘッドを導入したり、また湯舟への入浴が難しい方でも体を温められる「オープン型シャワーバス」を導入している施設もあります。
皮膚は全身を覆い、1番外側でわたしたちの体を守ってくれています。皮膚のメカニズムを知ると、「人体で最大の臓器」と呼ばれている意味が理解できます。
皮膚は体内の状態を教えてくれる器官でもあるので、「いい皮膚の日」にちなみ、まずはよく観察してみましょう。
・日本化粧品検定特級 コスメコンシェルジュ資格