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シニアライフ

秋の味覚で季節の変わり目を健康に!シニアに重要な栄養素を紹介

厳しい暑さを乗り越え、実りの秋を迎えました。秋の味覚といえば、キノコ類やサツマイモ、カボチャ、栗などが思い浮かびます。秋刀魚や鮭も旬を迎えておいしい季節です。
秋の主な食材の栄養価はどのようなものがあるのでしょうか。また、シニアに特に重要な栄養素も紹介します。
秋の味覚をおいしく楽しむことは、加齢による心身の衰えを予防することにもつながります。

1.秋に起こりやすい体調の変化は?

秋は季節の変わり目で、体調を崩す方も多くなります。この時季に、シニアに起こりやすい体調の変化を紹介します。

■秋バテ

夏の暑さも和らぎ、過ごしやすくなってきたのにだるい、食欲がない、疲れがとれないなどの不調が出ることがあります。これは自律神経が乱れているために起こる秋バテの可能性があります。
自律神経には体温調節の機能がありますが、夏の室内と室外の激しい気温差で負担がかかっています。そこに秋の気温差が加わり、自律神経が乱れて秋バテを引き起こします。
秋バテは、加齢とともに活力が低下して、生活機能が低下して、心身も弱まる「フレイル」の症状とも似ており、放置するとフレイル状態に陥る危険性もあります。

■喉の渇き、咳

秋になると空気が乾燥してきます。また気温が下がって体感として暑さを感じないため、熱中症を気にしていた夏より水分を摂らなくなります。
そのため体の外も内も潤い不足になり、喉の渇きや咳の症状が現れます。

■肌の乾燥

気温が下がってくる秋は、湿度も低下して空気が乾燥します。外気が乾燥していると、肌の水分が蒸発しやすくなり肌が乾燥しやすくなります。乾燥がひどいと、唇の皮が剥けたり、頬や指先などの皮膚がガサガサになったりするので、クリームやオイルなどを塗り、乾燥を防ぎましょう。
また、暖房を使うようになると、部屋の空気が乾燥するため、水分補給や部屋の加湿も重要です。

■手足の冷え、むくみ

秋になって気温が下がりだしたとはいえ、日中はまだ暑い日もあります。昼と夜の寒暖差が大きいと、昼間は暑いために水分を多く摂り、夜は冷えて血流が悪くなることがあります。血行不良のためにむくみにつながり、水分が溜まっていることで手足が冷えてしまいます。

■便秘

寒暖差の激しい秋は、腸へ負担がかかりやすく便秘になりやすい季節です。また乾燥しているため腸の中も水分不足になりがちで、便が硬くなりスムーズに排出されにくくなります。
充分な水分摂取と、食物繊維の多い食事をしっかり摂ることを意識しましょう。

2.シニアに必要な栄養素と秋の味覚

「食欲の秋」「味覚の秋」ともいわれるように、秋に旬を迎える食材にはおいしいものがたくさんあります。その中でもシニアにおすすめしたい栄養素と秋の味覚を紹介します。

■タンパク質・カルシウム:秋刀魚、秋鮭

食が細くなりがちなシニアは、フレイル予防の観点からも動物性タンパク質をやカルシウムを十分に摂取することが大切です。
代表的な秋の魚は、秋刀魚や秋鮭。
秋刀魚にはタンパク質やカルシウムはもちろん、DHA(ドコサヘキサエン酸)という不飽和脂肪酸が豊富です。悪玉コレステロールを減少させ、高血圧の予防にも役立ちます。
1年を通して食べられる鮭ですが、特に秋鮭は産卵前のため身が締まり、脂が少なく食欲がない場合でもさっぱりと食べられます。鮭にはタンパク質のほかに、サーモンピンクの元となっているアスタキサンチンが豊富。抗酸化作用に優れ、美肌や老化防止にも効果が期待できます。 鮭は身と皮の間の脂肪にDHAやEPAが多く含まれるため、皮も一緒に摂取できるよう調理するのがおすすめです。

■ビタミン類・ミネラル:キノコ類

秋の味覚の代表格ともいえる松茸をはじめ、キノコ類も秋が旬です。キノコ類は低カロリーなのに栄養素が豊富で、シニアの健康維持にも大いに活躍する食材です。
ビタミンB1やB2、ナイアシン、葉酸、パントテン酸、ビオチンといった栄養素は、糖質や脂質、タンパク質をエネルギーに変換してくれます。干した椎茸などはビタミンDも豊富に含まれています。さらにカリウムが豊富で、ナトリウムを排出して塩分の摂りすぎやむくみを防いでくれます。

■食物繊維:サツマイモ、キノコ類

キノコ類にも食物繊維は豊富ですが、さつまいもには2つの食物繊維が含まれています。水に溶ける水溶性食物繊維は、糖質や脂質をからめとり、水に溶けない不溶性食物繊維がそれを排出してくれる役割があります。食物繊維は老廃物の排出を促し、胃腸をきれいにしてくれます。秋の不調のひとつでもある便秘にもおすすめの食材です。

■炭水化物・ビタミン類:カボチャ、サツマイモ

シニアには1日の必要エネルギーの50〜60%の炭水化物が必要とされています。ごはんやイモ類に代表される炭水化物は、体を動かすためのエネルギーとなるもので、不足すると痩せてしまったり、筋肉が分解されて体力が低下したりする恐れがあります。
秋の味覚の炭水化物といえば、カボチャやサツマイモ。両方とも甘味が特徴ですが、おかずとしてもスイーツとしてもおいしくいただけるので、さまざまな食べ方が楽しめます。
また、さつまいもと同様にカボチャにもビタミンや食物繊維が含まれています。カボチャに含まれるβ-カロテンは、活性酸素を除去する抗酸化作用も期待できます。

■抗酸化物質:栗、柿、ブドウなど秋のフルーツ

秋にはさまざまなフルーツも旬を迎えます。栗や柿、梨、ブドウなどはポリフェノールなどの抗酸化物質が多く含まれ、活性酸素を除去して若々しさを保つのに役立ちます。
そのまま食べても甘い柿は、干し柿にすることで糖度が60度を超えることもあり、日持ちもします。柿にはビタミンAが多く、目の粘膜の保護や免疫力アップにも良いとされています。
梨にはアスパラギン酸というアミノ酸の一種が含まれ、タンパク質の合成を促進するので、疲労回復をサポートしてくれます。

3.シニアが食欲の秋を健康的に楽しむ方法

秋には不調になる人も多い中、シニアが食欲の秋を健康的に楽しむにはどうしたらよいのでしょうか。3つの方法を紹介するので、ぜひ毎日の生活に取り入れてみてください。

■適度な運動をする

秋バテによって食欲が落ちることもあるため、適度な運動をして食欲増進を図りましょう。秋は行楽にも適しているため、景色の良い公園などを散歩するのもおすすめです。紅葉狩りやブドウ狩りなど、家族や友人と楽しみながら適度な運動をすると気持ちも上向きになります。

■食べ過ぎを防ぐ

シニアの場合、食欲が落ちるのも心配ですが、逆に食べ過ぎるのも注意が必要です。秋はおいしい食べ物がたくさんあるので、「腹八分目」を心がけて食事をすると良いでしょう。

■栄養バランスを考える

年齢を重ねると、食への関心が薄れたり、食が細くなったりして、食事を抜く、同じものばかり食べるなど、食生活が乱れがちになります。栄養が偏ると低栄養状態になるばかりか、気力まで低下するフレイル状態に陥りやすくなります。そのためには栄養バランスの良い食事を摂ることが大切です。特にシニアはタンパク質を意識して摂りましょう。

秋の味覚メニューを紹介【秋刀魚(または鮭)のホイル焼き】

●材料:2人分
秋刀魚 2尾(または鮭2切れ)、しめじ 1/2パック程度、舞茸 1/3パック程度、えのき 1/2袋程度、小ネギ 適量
酒 大さじ1、しょうが 小さじ1〜2(チューブで可)、ポン酢 大さじ1〜2
●作り方 1)しめじ、えのきは石突きをとり、舞茸と一緒に食べやすい大きさに分けます。
2)アルミホイルを2枚重ねにし、両端をねじってボート状にします。
3)ホイルに秋刀魚をのせて酒をふり、「1」のきのこ類をのせます。
4)「3」にフタをするように、アルミホイルで覆います。
5)電子レンジのグリル機能で約20〜30分ほど焼きます。きのこ類がしんなりして、秋刀魚(鮭)にしっかりと火が通るのが目安です。
6)ポン酢とおろししょうがを混ぜてタレを作っておきます。
7)焼き上がったらフタのホイルを取り、タレと小ネギをかけてできあがりです。

4.まとめ:秋の味覚を楽しみながらフレイルも予防しよう!

秋の味覚を楽しむためには、健康でいることが何より大切です。
秋は気持ちの良い季節ですが、体調を崩しやすい季節でもあります。
秋の味覚を楽しむことは、その栄養素からフレイル予防にもつながるので、さまざまな対策をしながらおいしくいただきましょう。

リゾートトラストグループのシニアレジデンスでは、「健康長寿の実現」と「食べる喜びを彩る」にこだわった食事を提供しています。
一番の特長は、老年医学専門医が監修の「フレイル予防食」。
高齢者のフレイルを予防するためには、良質のたんぱく質を十分に摂取し、筋力を維持することが重要です。独自の栄養価指針をもとに、多彩な食材や調理法を取り入れ、献立の組み合わせ、綺麗な彩りなどさまざまな目線で工夫を凝らしています。
気になる方は、ぜひ関連記事をチェックしてみてください。

※関連記事:高齢者の「食が細い」に要注意。食事を意識して「フレイル予防」を。

記事監修

■執筆:美容ライター(日本化粧品検定特級 コスメコンシェルジュ資格)
■監修:株式会社ハイメディック所属 管理栄養士