エリアをご選択ください
お役立ちコラム|
よりどころ
「これから」を考える皆様に頼っていただける、
拠り所となるような情報をお届けしてまいります。
介護の基礎知識
「二重課題運動」とは?もの忘れが気になり始めたら、取り入れたい新習慣
この記事では二重課題運動についてわかりやすく解説し、自宅で簡単に取り組める方法や、リゾートトラストのシニアレジデンスでの実際の取り組みを紹介します。
まずは、無理なく楽しむことから始めてみませんか。
1.二重課題運動とは?
体を動かす「運動課題」と、頭を使う「認知課題」を同時に行うことを二重課題運動といいます。
日常でもテレビを見ながら洗濯物を畳んだり、友人とおしゃべりしながら歩いたりすることがありますが、こうした「ながら動作」と二重課題運動が大きく異なるのは、運動課題と認知課題など異なる課題を同時に行うこと、つまり、二つの課題を関連づけずに行う点です。
例えば、「リズムに合わせて両手でグー・パーを繰り返しながら、100から7を順に引いていく」「その場で足踏みをしながら、相手に言われた言葉を逆さまから言う」などがあります。
このように、まったく違う二つの課題を同時に行う、つまり“脳を混乱させる”ことを意図的に行うのがポイントです。脳を混乱させるような負荷をあえてかけることで、脳の前頭葉が活性化されると考えられています。そのため、はじめは、二重課題を間違えずに上手にできるかどうかは重要ではなく、“ちょっと難しい”程度の負荷が良いと言われています。
2.二重課題運動に期待できること
二重課題運動によって脳が混乱すると、脳の前頭葉が刺激されて活性化される可能性があるとされています。脳の前頭葉は、思考や判断、感情のコントロール、身体の運動を司る、脳の司令塔とも呼ばれる部位です。二重課題運動で脳に負荷をかけると、前頭葉が刺激されて、さまざまなことに注意を向ける力や、ものを覚える記憶力に良い影響があるという報告もあります。※1
認知機能の維持を目指す取り組みの一つとして、二重課題運動を取り入れている施設もあります。リゾートトラストのシニアレジデンスでは、取り入れる前と比べて、入居者同士のコミュニケーションが増えた*り、睡眠の質が良くなった*と感じられる入居者がいたりと、日々の暮らしに良い変化が見られているそうです。
*入居者個人の感想です。
3.二重課題運動をやってみる
二重課題運動は、だれでも最初は難しいと感じるものですが、脳を混乱させて、脳に適度な刺激を与えることが目的です。はじめは上手にできなくて構いませんので、まずは楽しく始めてみましょう。
まずは簡単にできる二重課題運動のご紹介
転倒の恐れがある方は、椅子に座って行ってください。※2

【1】1から30まで、声に出して数えます。
【2】数字が3の倍数のときには、胸の前で手を1回叩きます。
【3】上手に手を叩けるようになったら、1から30まで数える間、同時に足踏みをしてみましょう。
【4】さらに慣れてきたら、5の倍数のときに両手を上げる(万歳をする)動きを加えます。
最初はゆっくりとしたペースで行い、慣れてきたら少しずつスピードを速めてみましょう。
※はじめは3の倍数で手をたたき、慣れてきたら5の倍数で万歳を加えるなど、自由に難易度を調整できます。3と5の倍数で行い、両方が重なる場合には、いずれか一方、または両方の動きとするなど、ルールを決めるとよいでしょう。
ふらつきやすい方は、無理をせずに椅子に座って行ってください。体調に不安があるときや、運動中にめまい・動悸を感じた場合にはすぐに中止しましょう。持病のある方はあらかじめ主治医に相談し、当日の体調、血圧・脈拍、ふらつきや痛みの有無などを確認したうえで無理のない範囲で行ってください。
最初はできなくても大丈夫です
最初はゆっくりのペースで行います。若い人であっても、二重課題運動は難しく感じます。数え間違えをしたり、3の倍数のときの拍手を忘れたりしても、まったく問題ありません。二重課題運動は、脳を混乱させるような負荷をあえてかけているので、「脳に刺激が届いているな」と思って、楽しみながら続けましょう。
慣れてきたら難易度を上げてみましょう
毎日行っていると、最初は難しかった二重課題運動でも上手になっていきます。上手にできるようになったら、脳を混乱させ続けるために、さらに難易度を上げていきましょう。
その場合は、【1】〜【3】に加えて「数字が5の倍数のときは、両手を上げて「バンザイ」をする」というタスクを加えてみましょう。
毎日続けると、個人差はあっても、少しずつ上達していきます。二重課題運動には、難しいものや複雑な課題など、たくさんの種類があるので、少しずつでも上達を目指していきましょう。
4.リゾートトラストのシニアレジデンスでの取り組み
リゾートトラストのシニアレジデンスでは、リハビリやフィットネスに二重課題運動を取り入れています。実際にどのような取り組みを行っているのか紹介します。
週2回×40分の集団体操で実施
週2回、1回40分の集団体操プログラムの中に、15分以上の二重課題運動を取り入れています。基本的に二重課題運動はグループで行い、椅子に座った状態や立位など、入居者に合った動きや負荷をスタッフが丁寧にサポートします。
二重課題運動のほか、集団体操では筋力トレーニングや有酸素運動も取り入れており、前後に必ずウォーミングアップとクールダウンを挟むように、一連のプログラムを導入しています。
二重課題運動は、楽しく続けることが重要です。そのため、音楽を流して、歌いながら運動したり、音に合わせて体を動かすプログラムを取り入れたり、季節の行事に合わせた認知課題を取り入れるなど、楽しく続けられるような工夫をしています。
例えば、童謡や演歌、なじみのある歌謡曲など、テンポの良い曲を歌いながら手拍子をしたり、山登りの映像を見ながら、登っているかのように足踏みをしたりと、ゲーム感覚で没入感を持たせることがポイントです。
認知課題、運動課題ともにたくさんの種類が用意されており、これらの組み合わせによって、その方に合った難易度や負荷量を調整した二重課題運動が豊富に提供されています。
常に新しい刺激が得られるよう、お一人おひとりの状態に合わせたプログラムを作成しています。
とにかく「楽しく、笑いながら」行う
リゾートトラストのシニアレジデンスでは、二重課題運動を楽しく笑いながら行うことを大切にしています。課題が難しすぎると長続きせず、簡単すぎても脳への負荷にならないため、「難しすぎず簡単すぎない」絶妙な難易度設定が重要です。間違ったり、できなかったりしても、あきらめずに笑顔で取り組むことが、楽しさと継続につながっていきます。
継続して取り組むことで、「二重課題運動は笑って楽しい」という雰囲気が定着し、参加者同士が成功や失敗を分かち合う様子も見られています。「楽しく・笑いながら」取り組めることが、多くの入居者にとって続けやすさにつながっているようです。
5.まとめ|1日1分から始める「二重課題運動」を毎日の習慣に
二重課題運動は、特別な道具や場所も必要なく、今日からすぐに始められる運動です。大切なのはうまくできることより、間違えたり笑ったりしながら楽しく続けることです。
リゾートトラストのシニアレジデンスでは、二重課題運動をプログラムに取り入れながら、入居者一人ひとりのペースに合わせたサポートを行っています。まずは1日1分から、ご自宅でも二重課題運動を取り入れてみませんか。楽しい新習慣として、ぜひ続けてみてください。
独自の認知症ケアモデル「ハイメディック・ケア」について
リゾートトラストのシニアレジデンスブランドの一つである「ハイメディックレジデンス ザ・ガーデン」シリーズでは、医療支援・介護・ホスピタリティの基盤に、認知症予防・進行予防の視点を重ねた、独自の認知症ケアモデル「ハイメディック・ケア」を実践しています。運動・コミュニケーション・食事・睡眠。日々の暮らしを形づくる四つの習慣にていねいに働きかけることで、心身の健やかさと、認知機能の維持を日々の暮らしから支えます。
▼ハイメディック・ケアについて詳しく見る
https://www.trustgarden.jp/thegarden/
記事監修
リゾートトラスト株式会社所属 理学療法士(シニアライフ事業担当)