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老人ホームの暮らし

続編:老人ホームでのリハビリとは?-理学療法士(PT)の役割-

老人ホームと病院でのリハビリテーションの違いを、2023年6月のコラムでご紹介しました。
その専門職として知られ、老人ホームなどの介護施設で機能訓練指導員として従事しているのが、主に、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、柔道整復師の4職種です。
今回は、理学療法士が老人ホームでどんな仕事をしているのか、その役割などをご紹介します。

1.理学療法士とは?

理学療法士とは、医師の指示のもと、運動の指導や物理療法を行う医療技術者のことをいい、「PT」とも呼ばれる(PT:Physical Therapistの略)国家資格です。日常生活を行う上で基本となる動作の改善のために、必要な技術を用いて日常生活の自立を目指す、動作の専門家です。

「ケガや病気などで身体に障害のある人や障害の発生が予測される人に対して、基本動作能力(座る、立つ、歩くなど)の回復や維持、および障害の悪化の予防を目的に、運動療法や物理療法(温熱、電気等の物理的手段を治療目的に利用するもの)などを用いて、自立した日常生活が送れるよう支援する医学的リハビリテーションの専門職です。治療や支援の内容については、理学療法士が対象者一人ひとりについて医学的・社会的視点から身体能力や生活環境等を十分に評価し、それぞれの目標に向けて適切なプログラムを作成します」※。

理学療法士は、さまざまな場所で活躍しています。
・病院や診療所などの医療機関
・通所や訪問リハビリテーションなどの介護保険サービスを提供する場
・介護老人保健施設(老健)や老人ホームなどの高齢者施設
・障がい者福祉施設
・教育、研究機関
・一般企業 など

※引用:公益社団法人日本理学療法士協会.“理学療法士とは” .https://www.japanpt.or.jp/about_pt/therapist/ ,(参照 2024-3-28)

2.老人ホームでの理学療法士の役割

老人ホームでは、介護支援専門員(ケアマネジャー)が作成した介護サービス計画書(ケアプラン)をもとに、「日常生活を送るうえで必要な生活機能の改善または維持」を目的とした機能訓練(リハビリ)を施設で提供するために、「機能訓練指導員(リハビリスタッフ)」が在籍します。
最近では個別機能訓練計画を立てて入居者個別にリハビリを実施するために、常勤専従の機能訓練指導員を配置する老人ホームも増えています。※
機能訓練指導員として在籍する職種は施設により異なりますが、どの職種でも、入居者一人ひとりに合った適切な機能訓練を提供しています。その中でも理学療法士は、その専門性を生かして、高齢者の身体機能や運動能力を向上させるためのプログラムを計画立案し、実施することが得意とされています。

■機能訓練の一例
・筋力訓練
・関節可動域訓練
・バランス訓練
・姿勢改善訓練
・歩行訓練
・日常生活活動の訓練
・福祉用具や歩行補助具等の提案
これらの訓練などを組み合わせて、高齢者の身体機能向上と日常生活の自立をサポートします。

※詳しくは、こちらのコラムでもご紹介しています。
老人ホームでのリハビリとは?病院でのリハビリとの違い。「老人ホームでのリハビリとは?」

3.トラストガーデンの理学療法士

リゾートトラストグループの運営する介護付有料老人ホーム、トラストガーデン・フェリオシリーズでは、ご入居者の目指す将来や意思・意欲に寄り添い、その実現に向けた個別プログラム(個別機能訓練計画書)を作成し、ご入居者の生活に関わる多職種と連携しながら、お一人おひとりに最適な機能訓練(リハビリ)を提供しています。

■ある理学療法士の事例紹介
大腿骨頚部骨折の影響でご自宅での生活が困難となって施設に入居される方に、理学療法士が関わるケース

入院先病院の医師や理学療法士からの詳細情報を確認したうえで、入居者の「歩きたい」という気持ちや希望を伺い、身体の機能(失われた機能、残された機能、再獲得できる機能など)を評価します。まずは、ケアマネジャーなど多職種と相談しながら、入居者の「目指す姿」を一緒に描きます。
個別機能訓練(リハビリ)では、理学療法士による手技や運動療法機器、物理療法機器を活用した筋力訓練や関節可動域訓練を行ったり、平行棒や手すりを用いた立ち上がり訓練や歩行訓練を行ったりします。できることは日常生活でも続けられるように、自主トレーニングの提案、介護職員が実施する生活リハビリのプログラム指導、歩行補助具(歩行器、杖、装具など)を提案、導入します。
「歩けない状態で入居される方が、元気に歩けるようになり、家族と外出できるようになる姿を見ることはとても嬉しいですし、非常にやりがいを感じます」。

なお、リゾートトラストグループの老人ホームは、施設により在籍する職種が異なります。もし理学療法士の在籍しない施設において理学療法士の専門性が求められるときは、本社所属の理学療法士が連携しています。

■老人ホーム(特定施設入居者生活介護)における機能訓練指導員の資格要件

「日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するための訓練を行う能力を有する者」で、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員(看護師または准看護師)、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師、(一定の実務経験を有する)はり師、きゅう師※を1人以上配置することが義務付けられています。

※理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師の資格を有する機能訓練指導員を配置した事業所で6月以上勤務し、機能訓練指導に従事した経験を有する者

※引用:厚生労働省「特定施設入居者生活介護」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000648154.pdf (参照 2024-3-28)

4.さいごに

歩けない状態で入居された方が、理学療法の専門性を生かして結果的に元気に歩けるようになることは、専門職として喜びを感じます。そして、「また自分の足で歩けるようになる」という意欲や可能性を引き出すことは、大切な役割のひとつでもあります。
しかしながら、入居者の身体の状態や気持ちによっては、自由に歩く姿を目指すことが難しい状況や、なりたい姿を描くことが難しい場面にも直面します。専門性を発揮することを大切にしていますが、専門性に捉われ過ぎると、その方が輝くときや、その方らしい生活を送ることを見失いかねません。
トラストガーデンやフェリオには、理学療法士以外の専門職も在籍しており、各職種の専門性や“おもい”が、入居者のなりたい姿を描くことに繋がり、理学療法士自身が救われる場面も多くあります。
わたしたちは、入居者の人生に寄り添うことを第一に、本人、家族、各職種と相談しながら、皆で「なりたい姿」を一緒に描くことを大切にしています。

(参考)
公益社団法人理学療法士協会「理学療法士を知る」
https://www.japanpt.or.jp/about_pt/therapist/
厚生労働省 職業情報提供サイトjobtag「理学療法士(PT)」
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/167

記事監修

株式会社ハイメディック所属 理学療法士

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