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老人ホームの選び方

退院後の療養に困ったら。「ホスピス」という選択肢。

「急に退院と言われても...」。
入院中に、病院から退院するように言われ、困ったことがある方も多いのではないでしょうか?
高齢者や末期がん、難病であれば、なおのこと在宅介護の不安や負担も大きくなります。
今回はそんな時のひとつの選択肢、「ホスピス」にフォーカスしてお話します。

1.なぜ入院を続けられないのか

皆さんが想像する「病院」とは、治療や救急搬送など24時間対応を行う「急性期医療」の場、いわゆる一般病棟です。その急性期医療の病院では、治療が終わったら退院を促されます。ある一定期間が過ぎると、病院側が受け取れる診療報酬が低くなる仕組みになっているためです。いわゆる、入院90日ルールとか3カ月ルールです。
しかし、療養の継続が必要な方や、余命宣告をされたなど、慢性期や終末期の方が自宅に戻ることが難しいケースも。
退院しても、自宅生活が難しい人はどうしたらよいのでしょうか。
※参考:厚生労働省「令和2年(2020)患者調査の概況」

■慢性期・終末期とは?

急性期病院といった病院や病棟(病床)の医療機能や、病状を表す区分があります。
高度急性期・・・急性期の患者に対して、状態の早期安定に向けて診療密度が特に高い医療が必要な時期
急性期・・・症状が急に現れた、病気になり始めで治療が必要な時期
回復期・・・急性期治療の後、症状が安定し、身体機能の回復をはかる時期
慢性期・・・症状が安定しているものの、病気は完全に治っておらず進行しており、療養が必要な時期
終末期・・・回復する見込みがなく、死期が近づいている時期

慢性期は、喀痰吸引や経管栄養など日常的かつ継続的な医療的ケアと療養が必要な状態です。
終末期はターミナルとも言われます。本人や家族の意思を尊重し、心身の苦痛を緩和、軽減するために行われる医療や看護ケアが終末期医療やターミナルケアです。そしてその日常生活のケアが看取り介護です。生命を維持するために身体が管だらけの状態ではなく、その人らしい最期のための「終末期医療」「看取り介護」を希望する方も増えています。

2.退院後、自宅に戻れない時の選択肢とは

慢性期・終末期の方が療養や生活を続ける退院後の選択肢として、日本ではさまざまな施設や病棟があります。
主なものを簡単にご紹介します。

■介護医療院

医療と介護が必要な高齢者のために、「長期療養のための医療サービス」と「日常生活上の世話、介護サービス」が提供される生活の場で、2018年4月に新設されました。
介護医療院は、新設であることから2023年6月末時点で全国に計794施設(東京都で25施設)と、あまり多くない状況です。
※参考:厚生労働省「介護医療院公式サイト」https://www.mhlw.go.jp/kaigoiryouin/

■緩和ケア病棟

緩和ケア病棟は、「治療が困難な病気の方の、苦痛を緩和し療養を行う病床」のことです。緩和ケア自体は、通院、入院、在宅のいずれでも受けることができます(病院の場合は、全国のがん診療連携拠点病院)。主に「苦痛の緩和を必要とする悪性腫瘍の患者」または「後天性免疫不全症候群(エイズ)の患者」が対象とされています。
※参考:東京都保健医療局「緩和ケアについて」https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/iryo/iryo_hoken/gan_portal/research/gan_qanda/gan_kanwa_care/index.html
※参考)国立がん研究センター「緩和ケア」https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/relaxation/index.html

■介護付有料老人ホーム(一般型特定施設入居者生活介護)

介護付有料老人ホームは、特定施設入居者生活介護の指定を受けた施設のことで「生活の場」です。スタッフが24時間365日いる安心感があります。
しかし、看護師は24時間常駐が義務ではないため、夜間には看護師が不在の施設もあります。そういった施設では、医療依存度が高い方の入居が断られる、入居中に入院し退院後に施設へ戻れないといったケースもあるので、入居前に十分に確認しましょう。
※参考:厚生労働省資料「特定施設入居者生活介護」(令和2年7月8日)https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000648154.pdf

■ホスピス

医療依存度が高い慢性期や終末期の方のための、看護(医療支援)と介護(日常生活支援)を提供する施設です。末期がんや難病など医療依存度の高い方の受け入れを積極的に行っており、訪問診療・看護・介護を利用します。訪問看護ステーションが併設されている施設が多いようです。

3.緩和ケア病棟とホスピスの違い

緩和ケア病棟とホスピスは同じではないの?何が違うの?と思われる方も多いのではないでしょうか。緩和ケア、ホスピス、ターミナルケアなどと似たような言葉があり、医療従事者など専門職でないとわかりにくい印象があります。
「緩和ケア」というと、日本においてはがん患者が主な対象とされていますが、WHOにより「生命を脅かす疾患に直面している患者とその家族に対して」と定義されています(WHO 2002の定義)。
緩和ケア病棟とホスピス(ホスピス住宅)の共通点は、「治療が目的ではない」ことです。

※参考:緩和ケアってなんだろう?|がん情報みやぎ https://cancer-miyagi.jp/kanwa_sp/#p03

※参考:用語の説明

■緩和ケア・・・完全な治癒の望めない患者に対し、生命の持続よりも、その身体的痛みや精神的苦痛を取り除くことに重点をおいた介護・看護。末期癌 (がん) 患者などに対して行われる。

■ホスピスケア・・・末期癌 (がん) 患者など死期の近い病人を対象に、延命処置を行わず、身体的苦痛を和らげ、精神的援助をして生を全うできるように医療を行う施設で提供される介護・看護。

■ターミナルケア(終末期医療)・・・重い病気の末期で不治と判断されたとき、治療よりも患者の心身の苦痛を和らげ、穏やかに日々を過ごせるように配慮する療養法。
※出典:デジタル大辞泉(小学館)

4.末期がんの方も安心して暮らせるホスピス住宅

最近「ホスピス住宅」という施設が増えています。
住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の全体が対象、介護付有料老人ホーム(特定施設)の一部居室・一部フロアが対象といった施設です。
共通する一番の特徴としては、「医療支援の手厚さ」と「生活の場であること」です。設備面では、居室の介護用ベッドやナースコール、車いすで使用しやすいトイレや洗面台、手すりや特殊浴槽を備えた浴室が設けられています。
医療支援や介護・日常生活支援は必要だけれど、「病院に入院」ではなく「療養をしながら生活をしたい」方にとって、安心して生活ができる場所といえます。

住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅の場合は、看護・介護スタッフの配置が義務付けられていないため、外部の訪問サービスを利用する施設が多いようです。
訪問看護・訪問介護事業所が併設されており、その訪問スタッフが24時間常駐していることで、夜間帯も安心です。

5.トラストガーデンのホスピスルームとは

リゾートトラストグループの介護付有料老人ホーム「トラストガーデン」には、訪問看護ステーションを併設した「ホスピスルーム」があります。
一番の特徴としては、入居者の住まい=家(生活の場)であり、家のように、かつ家よりも安心して過ごせることです。介護付有料老人ホームとしての通常サービス(介護・看護サービス)にプラスして、併設の訪問看護事業所による追加の看護サービスも受けることが可能※です。
やはり、日常のサポートを行う施設の介護・看護スタッフが24時間365日常駐していることは、安心感があります。

■トラストガーデンのホスピスルーム特徴

施設に常駐する介護・看護スタッフが、入浴や排せつ介助、口腔ケア、清掃といった介護と日常生活支援を行います。
プライバシーが保たれた約20㎡の個室に住まいながら、日々のアクティビティや季節のイベントなど、他の入居者との交流も楽しめます。なかなか外出が難しい方も、屋上やテラス、中庭などで日光浴や外気浴をして気分転換ができます。
そして、ホスピスルームには、介護用電動ベッドやナースコールなど通常居室と同じ標準装備のほか、褥瘡を予防するエアマットや喀痰吸引器、ベッドサイドモニターなどが用意されているので、環境面、設備面で安心です。

トラストガーデンのホスピスルーム
https://www.trustgarden.jp/hospice/

トラストガーデン桜新町 ホスピスケア・ルーム(イメージ)

※介護付有料老人ホームで訪問看護を利用できるの?

介護付有料老人ホームに特定契約を結んで入居(介護保険を利用)している場合、介護保険で訪問看護を利用することはできませんが、医療保険での利用が可能なケースがあります。
・主治医が必要と認めた場合
・主治医から特別訪問看護指示書の交付を受けた場合
・「厚生労働大臣の定める疾病等(別表7)」20種の場合(介護保険の「16特定疾病」とは異なる)

※厚生労働省「訪問看護」資料:https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000661085.pdf
※厚生労働省「特定疾病の選定基準の考え方」(介護保険の特定疾病):https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/nintei/gaiyo3.html

6.さいごに

退院後の療養先として、さまざまな選択肢がありますが、なかなかご自身やご家族で決めることは難しいことです。まずは、病院や市区町村の相談窓口へ相談してみることをお勧めします。

■病院の相談窓口、医療ソーシャルワーカー

病院で患者や家族の療養や退院後の不安や課題などの相談を受け、解決のサポートを行う専門職が「医療ソーシャルワーカー」です。「医療相談室」などの名称で窓口が設けられています。
しかし配置・設置義務ではなく、すべての病院にあるわけではないので、その場合には、お住まいの市区町村の窓口や地域包括支援センター、難病の方であれば都道府県・指定都市の「難病相談支援センター」にも相談ができるそうです。病院や公的な相談窓口を、ぜひ活用しましょう。

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