シニアライフ 2024/12/5
冬のバスタイムを快適に!シニアのための入浴ガイドとスキンケア
2024/12/5
年末年始は寒さに加えて家族の帰省や会食、大掃除など普段と異なった行動をすることが多く、高齢者にとっては加齢に伴う機能の低下や病気などによって思いがけない事故が発生しやすい時期です。
親御さんと離れて遠くに住んでいる場合は特に、帰省した際に、事故防止の対策や生活、体調面で不安なことがないか、などについてコミュニケーションをとっておきましょう。
今回は、起こりやすい事故と対策、また帰省の際にチェックしたいポイントをご紹介します。
毎年12月に消費者庁は「高齢者の事故防止に関する注意喚起」を行っています。その中で、繰り返し注意喚起されているのが、転倒、窒息、溺水の3つです。
高齢になると大掃除や来客準備など普段と違う行動が多くなることで、高所や段差からの転落、掃除機や暖房器具のコードに引っかかり転倒、身をかがめた拍子に転倒するなどの事故が多発し、高齢になりちょっとした動作なのに大けがになってしまったということも少なくありません。これまで難なくできていた動作でもバランスがとれなくなったり、体を支えられなくなっていたり。客をもてなすための特別な座布団や食器などを出し入れする際などにも注意が必要です。
掃除などは家事代行サービスを利用する、また普段行わないお正月の準備や片付け、それに伴う体に負担がかかりそうな作業は2人以上で行うなど、ルールを決めるのもいいでしょう。事故や怪我に繋がらないよう家族で話し合い、対策をしましょう。
【関連コラム】「実は家の中が危ない?高齢者の転倒予防とは」
餅による高齢者の死亡事故の43%が1月に、14%が12月に発生しており、特に正月三が日に多いことが消費者庁の調査で分かっています。高齢になりかむ力や飲み込む力が弱くなっていることなどが原因です。餅を食べる際は気を付け、家族も見守るなど対策をとりましょう。
餅を詰まらせたらどうする?対応をチェック。
〔餅をのどに詰まらせたときのサイン〕
・咳込んだり、苦しそうにしている 。
・声を出せず、喉をつかむ動作をする(窒息のサイン(チョークサイン) )
・顔色が悪い
〔とるべき行動〕
・まず呼びかけ、声が出せるかを確認する
・声が出せない場合は、喉に詰まった餅の除去が必要と判断
・咳をすることが可能であれば、咳をするように声をかけるが、強い咳をすることができないときには窒息と判断し、119番通報やAEDの搬送を依頼
・呼びかけに反応がない場合、また、応急手当の間に反応がなくなった場合は、直ちに心肺蘇生の手順を開始
〔気道異物除去の方法〕
・背中を強く叩いて詰まったものを吐き出させる背部叩打法(はいぶこうだほう)
手のひらの付け根部分で左右の肩甲骨の中間あたりを、数回以上力強く叩きます。
・相手の上腹部を強く突き上げて取り除く腹部突き上げ法(ハイムリック法) ※この方法は、乳児や妊婦、高度肥満の方に使用してはいけません。
1.相手の後ろにまわり、両方の手を脇から通し、ウエスト付近に手を回す
2.一方の手で握りこぶしをつくり、その親指側をへそより少し上に当てる
3.その握りこぶしをもう一方の手で握って、すばやく手前上方に向かって圧迫するように突き上げる
〔窒息事故を予防するためのポイント〕
・餅は小さくカットして、食べやすい大きさで食べる
・食べる前に、お茶や水などで喉を潤しておく
・一口の量を少量にし、ゆっくりよく噛んで食べる
・高齢者が餅を食べる時はなるべく見守る
【関連コラム】高齢者の「むせる」には要注意!?「嚥下障害」は早期の対応が大切です
※出典:政府広報オンライン‟餅による窒息に要注意!喉に詰まったときの応急手当は?“ https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202212/2.html
寒い時期の入浴は室温など住宅環境が大きく影響するため、注意が必要です。消費者庁では、下記8つを具体的なアドバイスとして発信しています。
〔事故を防ぐためのポイント〕
◆入浴前の注意ポイント
1.脱衣所や浴室を暖めましょう。(断熱性の向上と暖房設備の導入を検討も)
2.こまめな水分補給をしましょう。
3.食後すぐの入浴や、飲酒後、医薬品服用直後の入浴も避けましょう。
4.入浴する前に同居者に一声掛けて、意識してもらいましょう。
◆入浴時の注意ポイント
5.湯温は41度以下、湯につかる時間は10分までを目安にしましょう。
6.湯温や部屋間の温度差、入浴時間など普段意識しにくい部分について、温度計やタイマーを活用して見える化しましょう。
7.浴槽から急に立ち上がらないようにしましょう。
8.浴槽内で意識がもうろうとしたら、気を失う前に湯を抜きましょう。
※出典:消費者庁.“年末年始に増加する高齢者の事故に注意しましょう! – 浴室での溺水事故、餅による窒息事故、掃除中・除雪中の転倒・転落事故等に注意 -” https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_067/
まずは家の様子から、そしてコミュニケーションをとりながら変わったことがないか、気にかけてみましょう。親の気持ちや行動に配慮しながら、サポートが必要ないか声を掛けたり、今の生活をどう感じているかなどを聞いたりと、親の行動を尊重しながら対話することが大切です。
部屋の様子や行動の変化については下記を参考に確認してみてください。
・綺麗好きだったのに、片付けられなくなっている
・人を迎える際は、必要なものを準備していたのに、できることが少なくなっている
・トイレやお風呂など掃除がままならなくなっている
・冷蔵庫に食材がない、または賞味期限切れのものが溜まっている
・趣味や知人との交流をやめている
・可愛がっていたペットが太っている、または痩せている
手や足腰に痛みがでたり、疲れやすくなったりと、目には見えない部分でも身体機能の低下は多少なりとも生活に影響します。料理ができなくなっている場合や、同じものばかりを食べているなどは低栄養になりかねません。エサを何回もあげてしまい、ペットが太っているなどは認知機能の低下による場合もあります。
高齢により様々な身体機能が低下し、以前できたことができなくなることは多々ありますが、どの程度なのか、また心の状態はどうか、人付き合いなどはあるかをぜひ確認してみてください。
生活面で不安がありそうな時、特に遠くに住んでいる場合などは住み替えの検討も視野に入れてみましょう。
現在は、多種多様な高齢者専用の住宅・施設があります。子どもの住居に近い場所に住替えると、すぐに顔を合わせることができ、親も子も互いに安心して生活ができます。24時間スタッフがいる施設では、夜間でも何かあった場合にはサポートが受けられますし、24時間看護師がいるところは更に安心です。早いうちから住み替えることで、趣味やコミュニティを広げられたり、アクテビティに参加したりと社会的な交流が生まれる可能性も高まります。
ライフスタイルに合わせて選ぶことも可能なので、早めに話し合ってみるのもよいかもしれません。
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この時期は、寒さによる体調不良や、年末年始の集まりや掃除・片付けなど、事故やトラブルが起こりやすい時期です。帰省など、高齢になった親との交流が増える時期でもあるので、事故に気をつけながら楽しいひと時を過ごしましょう。そして親子でコミュニケーションをとる良い機会なので、生活の様子をみながら将来のことなどを、ぜひ話してみてくださいね。